保育園や幼稚園に通うお子さんたちも、入園時に比べたくましく育っていることでしょう。そしてさあ、次はいよいよ小学校入学です。
お気に入りのランドセルなど準備に余念がないと思いますが、年長さんになったら、小学校入学前までの間にぜひもう一つとても大切なワクチンについても、しっかり準備をして春を迎えましょう。
年長から小学校入学前に接種したい4つのワクチン
年長から小学校入学前までの間に接種したいワクチンは4種類あります。
- MRワクチン(定期接種)
- おたふくかぜワクチン2回目(任意接種)
- 三種混合ワクチン(任意接種)
- ポリオワクチン(任意接種)
このうちMRワクチンは定期接種で無料(公費負担)、おたふくかぜワクチン、三種混合ワクチンやポリオワクチンは任意ワクチンといって自費での接種になります。
任意接種にはなりますが、これらについては日本小児科学会でも接種を勧奨しています。詳しくはこちらもご覧ください。
おすすめの接種期間
まず最初に年長から小学校入学前の4つのワクチンのおすすめの接種期間は年長になった年の4月1日から、翌年小学校入学前の3月31日までの間です。
この1年を過ぎますとMRワクチンは定期接種(無料)で接種できず、任意接種(自費)での接種となってしまいます。
ワクチン接種は年長になった4月1日から、小学校入学前の3月31日の1年間
MRワクチン(定期接種)
MRワクチンは麻疹と風疹に対するワクチンです。
既に1歳時に1回目接種を終えていると思いますので、2回目の接種を小学校入学前に接種しましょう。
麻疹も風疹もあまり馴染みのない病気かも知れませんが、万が一にも感染しないためのワクチンですので、ぜひしっかりワクチンを接種して病気に備えましょう。
MRワクチン接種により回避できる疾患やワクチン接種の副反応などは下記ページで詳しく解説していますので御覧ください。
おたふくかぜワクチン(任意接種)
おたふくかぜワクチンはその名の通り、おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)を予防するワクチンです。
「熱が出て、ただほっぺたが腫れる病気でしょ?」と思われる方も多いようですが、ときに難聴や無菌性髄膜炎など重篤な合併症を引き起こすことがある大変怖い病気です。
日本では残念ながら任意接種ですが、WHO(世界保健機関)でも定期接種と認定している重要なワクチンです。
1回目を1歳になった段階でMRワクチンと同じタイミングで接種し、2度目の接種もMRワクチンと同じ就学前に打つことで飛躍的に抗体が上がります。
自己負担があることから特にこの2回目の接種が日本では低いことが問題になっており、毎年平均60万人もおたふくかぜにかかっていると言われています。
ぜひ大切な我が子を守るためにもおたふくかぜワクチンを2度接種しましょう。
三種混合ワクチンとポリオ(任意接種)
三種混合ワクチン(ジフテリア、百日咳、破傷風)にポリオワクチンを加えた4つのワクチンを四種混合ワクチンと呼び、実は生後2ヶ月から1歳半頃に4度接種し、このときは定期接種となっています。
そんな1歳半頃までに接種したワクチンの抗体も、その後4−5年経過することで低下することが知られており、就学前の追加接種をWHO(世界保健機関)でも勧めています(WHOでは四種混合ワクチン5回接種が標準です)。
また日本小児科学会でもこの時期の追加接種を推奨しています。
残念ながら四種混合の任意接種は国から承認されておらず、三種混合ワクチンとポリオワクチンをそれぞれ接種することで代用しています。
どの病気も耳慣れない病気ですが、もしもかかってしまうと大変な病気ばかりです。またポリオも旅行者からの国内持ち込みも懸念されている状態です。
大切な我が子を守るためぜひ接種を検討しましょう。
三種混合ワクチンとポリオワクチン(四種混合ワクチン)で回避できる病気や副反応などの解説は下記ページを御覧ください。
任意接種なのに接種した方が良いの?
- 本当に必要なものだけが定期接種と国が決めたのではないの?
- お金を払ってまで任意ワクチンを打つ必要はあるの?
など思う方も多いかも知れません。
まずこれまでもいくつもワクチンは接種されていると思いますが、その多くは定期接種で自己負担なく接種していると思います。
一方で任意接種という自己負担のワクチンは、もしかしたらあまり縁が無い方も多いのかも知れません。
でも実は身近な任意ワクチンをすでに皆さん接種されています。その代表例がインフルエンザワクチンです。
当院でも秋から冬にかけてインフルエンザワクチン接種を行っていますが、インフルエンザは皆さんそれぞれご自身でワクチン代金を負担して接種されていますよね?
そして、多くの方にとってインフルエンザワクチンは接種した方が良い、と自然に理解されていると思います。
それは「お金を払ってでも接種した方が、インフルエンザに罹患しにくかったり、もしも罹患しても症状が軽くなることを理解し、お金を払う価値がある」と理解しているからだと思います。
話をここで就学前のワクチンに戻すと、接種が勧奨されている4つのワクチンのうち3つは任意ワクチンですが、その重要性に違いはなく、どれもとても大切なワクチンです。
定期接種か任意接種かは、国の法整備が間に合っているかという制度上の違いだけです。
どの感染症ももしも罹患してしまうと大変な合併症を引き起こす可能性があり、なおかつワクチンを接種することでそのリスクを大きく軽減できる疾患です。
確かに任意接種の費用は一時的に大きいかもしれませんが、感染症にかかってしまった場合の治療費やご両親の付き添いという負担を考えても、「任意接種だから打たなくても良い」などと考えず、大切な我が子を守るためにもしっかりと入学前に備えることをおすすめします。
- 定期接種ワクチンと定期接種ワクチンの違い
- 任意ワクチンは接種した方が良いか?
- 任意ワクチンは高いか?
などの疑問について詳しく解説しているページもありますのでどうぞ参考にしてください。
日本小児科学会でも定期接種と任意接種の違いを解説しています。どうぞご覧ください。
接種費用
翠こども・耳鼻咽喉科クリニックでの就学前のワクチン接種費用は下記のようになります。ワクチンの納入費用が年々上がっており、価格を変更させて頂く場合もございますのでご了承ください(2024年02月現在の金額)
ワクチン名 | 価格(すべて税込み価格) |
MRワクチン(定期接種) | 無料(公費負担) |
おたふくかぜワクチン(任意接種) | 5,000円 |
三種混合ワクチン(任意接種) | 3,500円 |
ポリオワクチン(任意接種) | 8,000円 |